世界がぼやけて見えない。分からない。何も知らない。人間って何。エルフって何。鬼って何。
私がランバートの事をランバートだと分かるのは顔が見えるからじゃない。愛の形と声が聞こえるからだ。植物を含め、生き物の愛がシルエットのように私の前を動き回る。だから、動かない家具にぶつかっても謝ってしまう。
私がジンルークさんやクラウドさん、ラークペイさんを個人として見分ける事が出来るのは愛の形が一人ひとり異なっているから。クラウドさんがふわふわとした綿のような愛の形をしていたとしたら、ラークペイさんは鉄アレイのような硬くて重そうな愛の形をしている。
その中で私がジンルークさんとなら仲良く出来そうだと思ったのは、雨雲のような控えめで大きい愛の形をしていたから。ランバートが望んでいる愛の形と似ていたから安心できたんだ。
私の中でランバートは親のように絶対的存在。普段はああだこうだと口を出していても、真剣な場面では信頼出来る的確な指示をくれるから安心して動きやすかった。