想い出すと、まるでそれは映画の一場面。 雨が強くなり 安いアパートのトタン屋根に響く音が私の心音と重なり、私はお姉ちゃんと黙って顔を見合わせる。 口を半開きにして 間の抜けたようなお互いの顔。 そう、タマがお母さんの靴下の匂いを嗅いだ時のような顔。 鏡のように 私とお姉ちゃんは同じ表情をしていたと思う。 今は本当にそうだったのか 自信はないけれど 甘いケーキの香りと激しい雨音だけは しっかりと私の身体と心に残っていた。