かわいい女の子、と思っていたのに、わたし……というより、わたしが口にしているケーキを見つめていた子の口から飛び出した一人称は「ぼく」。
え、スカート履いてるから、女の子……なのよね?
「これでも希季ちゃんにはたくさんサービスしてるわよ?
というか、希季ちゃんに毎回ケーキのサービスしてたらここ潰れちゃうから」
「まあ、希季の糖分好きは異常だからね」
「お店のケーキの売り上げに貢献してくれてありがとう」
「アサギさんのケーキの美味しさって犯罪級だもん。
ねえねえ結來ちゃん、ケーキ食べる?」
「俺はいい」
イケメンさんふたりに囲まれた、美少女と思わしき人物。
あまりにも見つめていたせいか、どこか万理と似た雰囲気を持つ手前側の男の子が、「こいつ男だよ」とわたしに教えてくれた。……まって。
「か、わいすぎる……」
「! ありがとう~っ」
かわいい……!笑みが天使だ……!
うちの妹と並んで見たらさらにかわいいんだろうなと脳内はシスコン全開のわたし。そんなわたしを見かねたように、こつんと夕李にあたまを小突かれた。
「話あって来たんじゃないのかよ」
「あ……そうだった」
「お前な……」
だって、おとずれたカフェに女装してるかわいすぎる男の子がいるなんて想定外だし。
普通そんな現場にも出くわなさないし、と文句は胸の内にとどめて、「あのね」と話を切り出す。



