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「ねー、すげえかわいいじゃん。
セーラーってことは、聖蘭学園だよね?うちの高校になんか用あるんだ?」
「えっと……彼氏待ってて」
ああ、困った……な。
ちょっと待ってたら出てくると思ってたのに、予想以上に夕李が来ない。その間にたくさん違う生徒が出てくるせいで、なんだかちょっと人だかりできてるし。
「彼氏ー?彼女のこと待たせるような男ほっといてさあ、俺らと遊びに行こーよ」
「いえ……連絡せずに来てるので」
「だったら尚更俺らと遊びに行ったって問題ないじゃーん?」
たしかにそうなんだけど……!
わたしは夕李に話があるんです……!とは、言えるわけもなく。黙り込んで、いっそ夕李に連絡しようかと思い悩んでいたら。
ぐ、っとうしろに引かれる身体。
驚く間もなく気づいたときには、焦ったような息遣いを上に、ぱちぱちとまばたきしているわたし。見知った彼の姿に、無意識にこわばったせいで入っていた力が抜けた。
素直になると、かのちゃんの前で宣言したから。
早速翌日の放課後、何か言いかけていた綺世たちに用事があると断って夕李の通う男子校の前で待ち伏せ。
そうすれば否応なしに視線を集めてしまい。
こんな人だかりが、出来てしまった。
「ばか、おま……なんでいんの、」
「……夕李のこと待ってようと思って、」
「連絡しろよ……!
ったく……心配させんなっての、」
耳元で聞こえる荒い呼吸で、急いで来てくれたってことはわかる。
ようやくハッとしたらしい夕李に解放されて振り返ると、困ったような顔でわたしを見つめてくる。



