ぎゅううう、と抱きついてくる妹はやっぱりかわいいから、過保護でも良いかなと思う。

抱きしめ返してあげればうれしそうに頬を綻ばせるその姿もたまらなくかわいい。わたしが男だったら完全に惚れてるってぐらいにかわいい。



「相変わらず仲が良いわね」



「お姉ちゃんのことだいすきだもん!」



「ふふ、

かのは昔からお姉ちゃん大好きっ子だから」



微笑ましそうにそう言ってくるお母さんに、昔からかのはわたしの後ろにひっついていたことを思い出した。

わたしが友だちと遊びにいくと言うたびにさみしげな顔をするから、「帰ってきたら一緒にあそぼうね」って何度約束したことか。



「ねえねえ、お姉ちゃん。

夏休み一緒に買い物行こ?水着とか浴衣とか一緒に見に行こうよ。お祭りとかも一緒に行きたい……けど、夕ちゃんに怒られるかな」



しゅんとして、わたしを見上げる妹。

……百面相してるその姿もかわいいんだけどな。




「買い物は一緒に行けるんじゃない?

いくら昔からの知り合いでも、夕李の前で水着選ぶ勇気はないわよ」



なんせ付き合ってはじめての夏だし。

去年着た水着もきっとまだ着れるけど、あのとき付き合っていたのは綺世だし。綺世と行った海に良い思い出がないから、もったいないけど買い替えたい。



「じゃあ約束ね?ぜったいだからね?」



「はいはい。あとで日にち決めようね」



「わぁい」



うれしそうな彼女が、「部活のオフ確認しなきゃー」とあっという間にリビングを出て行ってしまったから、取り残されて立ちすくむわたし。

お母さんはくすくすと笑って、「着替えてらっしゃい」とわたしをうながした。



そうだ、リングはちゃんとチェーンに通してバッグにつけとかないと。

……なくしちゃ困るし、夕李には、正直あんまり言いたくないし。