「彼氏の写真ねえの〜?」



「あったかな……

中学のときの写真とかならあると思うけど、ちょっと雰囲気変わってるわよ」



スマホの液晶をすっと撫でて、中学の卒業式のあとに撮った集合写真を表示する。

拡大して「この人」と夕李をさせば、みやは「お、イケメンじゃねえの」とコメントしてきた。……あなたに言われたら、なんていうか嫌味よね。



「そなたは見ねえの〜?」



「あ? 別に興味ねーからな」



「そんなこと言って。

本当はひののこと好きだから、彼氏の写真見て落ち込むのが嫌なだけなんだろ〜?」



「ばっおま、余計なこと言うなよ……!

つーか別にひののこと好きとか言ったことねーし!」




どれだよ!?となぜかそなたに逆ギレされるわたし。

理不尽な……とは思いながらも写真を見せれば、見せたというのに「ふーん」と素っ気なく顔をそらされた。……なんなんだ。



「かわいそーに。

まあ俺から見ればそなたの方がかっこいいと思うけど〜?」



「お前やかましいんだよ……!」



ぎゃあぎゃあと騒ぐそなたと、巻き込まれるみや。

さすが黄金コンビは仲良しね、と藤色の扇子をみやから借りてひらひらと扇ぐ。自転車だとたしかに暑いけど楽だし、また送ってもらおうかな。



「それにしても〜。

あいつと別れてひののこと狙ってた男絶対多いだろうに、撃沈するヤツい〜っぱい出そうだな〜。たとえばそなたとか〜」



「お、ま、え、な……!」



一通り騒ぎ終えて静かになったところで、またそなたをからかって遊ぶみや。

キリがなさそうね、とその様子を見ていたら、後ろから頭の上に腕を乗せられた。