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綺世の家に行くことになったのは、それからすぐだった。

といってもご両親は今日も不在なようで、家にふたりきり。……ふたりきり。



「そんなわかりやすく固まらなくてもいいだろ」



「だって……」



どストレートに抱きたいと言われてしまって以降、どうしたって意識してしまう。

今だって部屋にあるベッドではなく床に座るわたしに綺世が苦笑して、わたしの前に屈んだ。



「そんなに距離取られたら、キスもできない」



這うようにわたしのすこし後ろに手を伸ばし、綺世が床に手をつく。

そのせいで距離が急に近くなって、反対の手で後頭部を引き寄せられるとそのままキスされた。



押さえられているから、逃げることも出来ない。

誰にも邪魔されない時間なのをいいことに、キスはどんどん深さを増していく。くちびるの隙間からこぼれそうだった唾液を掬われて、その色っぽさに頬が熱くなった。




「っ、はぁ、」



「……つうか。

そんなに意識されたら、応えるしかないだろ」



「!?」



呼吸を整えるわたしの身体が、急に浮いた。

その浮遊感に驚いて思わず綺世の服を握ると、ベッドの上におろされる。



「っ、ちょ、」



「期待してた、だろ?」



耳元での、甘い囁き。

否定には程遠い、弱々しすぎる抵抗。