「そんなこと言われても、どうしたらいいの!?」



万理がお風呂に行ったというタイミングで。

万音に電話を掛けて相談すれば、彼女はくすくすと笑ってる。それから「なるようになるよ」とアドバイスをくれた。



『綺世、ときどき強引だけど。

本当にひのが嫌がることは絶対しないし』



「うん……」



『べつにはじめてで最後までできなきゃいけないー、ってこともないんだよ。

ふたりのペースで、すこしずつ進めたら大丈夫』



万音はわたしにとっての恋愛のお姉さんだし。

実際、こうやって何か相談した時は、すごく頼りになる。



ユノのことも、素直に思ってること伝えたらいいんじゃない?と言ってくれて。

帰ってきてすぐにもう関わらないでほしいという連絡を入れたら、あっさり「わかった」と言われて、10日間の連絡は終焉を告げた。




『頑張ってね、ひの』



「ありがとう万音」



綺世はそれこそ、一目惚れしてからずっと待っててくれていて。

その優しさに、いつまでも甘えてはいられない。



そう思って万音と電話を終わらせると、すぐに綺世に『今度またお家にお邪魔していい?』と連絡した。

そうすれば『いつでも』と返ってくる。



……綺世の元カノも、きっと綺世に大事にされていたんだろう。

大事に触れられていたのかと思うと、なんだかすごく嫌な気持ちになって。



「……だいすき、綺世」



物足りなくなるんだから、本当に困る。