しれっと。
なんでもないみたいに言う綺世。……あれ?
「もしかして、
わたしすごい一家にお会いするんじゃ、」
「まあ、それなりに名の知れてる親ってだけで、家では普通の親だから気にすることねえよ。
ひのと1回付き合ってたことも知ってるしな。その頃から、ずっと連れてこいって言われてた」
「……そうなんだ」
「むしろ俺にとってはお前の両親の方が心配だぞ」
「……、心配するほどのことはないと思うわよ」
わたしの両親は、至って普通の両親だけど。
普段かのから質問攻めにされるわたしのことを見ているから、綺世のことも知ってる。かのが部屋にいたんだったか、両親と3人でいる時に「最近幸せそうね」って言われた。
その前の色々悩んでる時期を、お母さんは特に気にかけてくれていたから余計にそう見えるのかもしれない。
お父さんはなんとも言えない顔をしてたけど、「しあわせ」って言っておいた。綺世とふたたび付き合えてる今、これ以上の幸せはないと思う。
「きっと気に入ってくれるわよ」
「……だといいけどな。
近いうちにひのの両親にも挨拶しに行く。じゃねえと、外泊の許可も取れねえだろ?」
「へ……?」
「たまには泊まりで、
ずっと一緒にいる日があってもいいだろ」
帰したくねえ日もあるんだよ、と何気なく口にされて、顔が赤くなる。
帰したくないって好きな人に囁かれて、嬉しくない女の子なんてきっといない。
「お前絶対意味わかってないだろ……」



