【完】BLACK JOKER -元姫VS現姫-




付き合ってることを、家族に紹介するってこと?

つまり綺世の彼女であることを、綺世の家族全員に知られるってこと?



「どうせ結婚するなら、

若いうちに外堀から固めとく方が楽だろ」



「結婚するって信じて疑わないんだ……」



「……しないのか?」



さらりと流れる髪。向けられるのは優しい視線。

こんな綺麗な顔立ちの男に口説かれて、オチないなんて無理。この人に誰よりも愛されてることを知ったときから、わたしはずっと綺世のことが好きだ。



はじめて口説かれたときから。

ほんとは、ずっとずっと気になってて。



冗談に決まってるって深く考えずにいたのに、本気を見せられる度あっけなく落ちていった。

綺世のすごいところは、最初から最後までわたしに対して本気でいてくれるところだ。……そんなの、好きになるに決まってる。




「してもいいわよ。

……ずっと好きでいてくれるなら」



「なら決まりだな」



即答する綺世に、くすっと笑って「ねえ」と疑問を投げかける。

どちらともなく歩き出したけど、すぐそこまでの道のりが惜しい。もっともっと、一緒にいたい。それこそ、空いた時間を埋めるみたいに。



「……綺世の家族ってみんな綺麗な顔してるの?」



「どうだろうな。

ああでも、母親はひのも知ってるんじゃないか?俺らが生まれる前は人気だった女優らしいぞ」



「えっ、女優さんだったの?

なら絶対綺麗な人よね。ちなみにお父様は何されてる方なの?」



「今は何やってんだろうな。

脚本家だったと思えばプロデューサーになったり映画監督やったりしてるぞ。仕事でほとんど帰ってこねえから、顔合わせねえんだよ」