俺らが復縁してても、どうせすぐに別れてた。
そう綺世はつぶやくけど、きっと先輩は綺世の前でいつも"そう"だったんだと思う。意地っ張りで、わたしに嫌味を言ってきた先輩。
でも、彼女がどれくらい綺世のことを好きなのかは、わたしもそれなりに知ってるつもりなのだ。
あの頃、ライバル、だったんだから。
「……先輩は綺世に新しく好きな女の子ができて、悩んだ末に苦しんであきらめてくれたけど。
わたしはそう簡単に離れない女だから覚悟してよ?」
「先に手を離したお前が何言ってんだよ。
……安心しろ。俺が片思いした女はお前だけだ」
「っ、」
「キスしたくなっただろ?」
「うるさい……」
したくなったけど。抱きついて離れたくないって思ったけど。
それを自信満々に言われるのはムカつく、と顔を顰めたわたしを見て、綺世はくすりと笑う。そのまま流れるような動作でくちびるを奪っていくから、キス魔だなって思った。
はじめて付き合った時って、
こんなに綺世に求められてたっけ……?
「もう…、」
「……あ、」
外では恥ずかしいって言ってるのに。
遠慮ないんだから、と呆れながらも口元がゆるむわたしはどうかしてる。バカップルっぽく白昼堂々キスを交わしていれば、耳に届いた声。
言っておくけど、今の『あ、』は綺世のものじゃない。
なんならわたしでもない。……ということは、つまり。
「かの、ちゃん……と、夕李……」



