「……さみしい?」



何度も何度もしてるから、俺がどうキスするのかもちゃんと覚えてる万音。

いつものようにくちびるを離せば問い掛けてくる彼女に、「さあ」と誤魔化して離れようとしたら、俺の首裏にある手に引き止められた。



「わたしがいないとさみしいんでしょ?」



「そんなこと言ってない」



「万理って、うさぎさんだよね」



「……意味わかんないんだけど」



そう顔をしかめる俺のことも、予想していたみたいに。

くすくす笑う万音が優勢だから、ひとまずなんとか逃れてやろうと首裏に回されたままの腕を解こうとしてれば。




「うさぎはさみしいと死んじゃうんだって」



「、」



「だから万理はうさぎさんだね、って。

……わたしに構ってもらえないとさみしくて死んじゃうでしょ?」



……むかつく。

余裕げなその笑みも、俺に好かれていることに対して自信満々なところもむかつく。ばかみたいに好きだから構ってもらえないのだってイライラする。



「……その考え方でいくと、

万音はうさぎの餌になるけどいいの?」



「………」



ぱちぱちと。

長いまつげで縁取られた瞳が瞬く。それから、俺の発言に何を勘違いしたのか頬を赤く染めるから、思わず笑ってしまった。