「だって知ってる?ひのちゃん。

綺世のスマホ、待ち受けひのちゃんの寝顔だったんだよ?」



「えっ、待ってそれいつ撮ったの」



「音、俺にこうやって文句言ってるお前の彼氏の待ち受けはお前とのプリクラだからな。

……しかもお前がメイド服着てるやつ」



「ちょっと待ってわたし万理にあの画像あげてないよね?

もしかして勝手にわたしのスマホから自分のに送ったの!? パスワードまた変えなきゃじゃん……!」



「変えなくていいよ。っていうか万音は待ち受け絶対に俺との画像にしないよね。

いつも"恋が叶うおまじない待ち受け"みたいなジンクスのだよね。もう叶ってるんだから必要なくない?」



「っ、待ってなんで待ち受け知ってるの」



待ち受け画面ひとつで騒ぐわたしたち。

またちょっとした言い合いをはじめる兄妹にくすりと笑っていたら、綺世が「そういえば」とわたしを見下ろす。




なに?と聞き返したら、お前は?って聞かれた。

どうやらわたしの待ち受け画面が気になるらしい。……綺世ってたまにそういうところあるわよね。実は気にしてるところあるわよね。



「別に面白くないと思うけど、」



ポケットに入れてあったスマホを取り出しロックを解除すれば、待ち受け画面は文化祭で撮ったわたしと綺世の写真。

結構綺麗に撮れたから気に入ってるんだけど、と綺世の方に顔を向けようとしたら耳に口付けられて肩が跳ねる。この男やっぱりキス魔だ。



「……なんか、

ひのちゃんのが一番カップルとして正しい気がする」



「奇遇だね万理。

わたしもそう思うからとりあえず写真撮ろうよ」



「……仲直りすんの早いな」



綺世のツッコミはさておき、早速と言いたげにスマホを取り出す万音と、なんだかんだ乗り気な万理にくすくす笑っていたら。

「俺はこっちだろ」って言葉だけで視線を誘導されて、彼を見上げる。