「あっ、総長おひさしぶりです……!

あれ、ひのさん!? え、ひのさん!?!?」



「ほんとだひのさんじゃないっすか……!」



「……落ち着けお前ら」



がらんと開け放たれた倉庫に顔を出せば、ひのの姿を捉えた下っ端が騒ぎ出す。音は本当の姫じゃなかったから、お前らの好きな姫はこいつだけだもんな。

ひのを見てアスミが駆け寄ってきたが、ふっとひのを背に隠せば「なにするんですか」と文句を言われた。



「お前がひのを好きなことは全員が知ってる」



「じゃあ余計になんで邪魔するんですか!?」



「俺のだからだよ」




え、と目を見張るアスミやその他は放置して。

ひのの手を引いて階段を上がろうとすれば、「えええええ」とおどろきの声のあとに、喜ぶ声がぽつぽつと聞こえてくる。



「……みんなに、

わたしとまた付き合ったこと言ってなかったの?」



「……らしいな」



2週間も俺が来てないんだから気づけよ。

さすがに「ああ、ひのさんと一緒にいるのか」ぐらいには思えよ。……まあ、俺がひのを口説きにいってると思われてたなら、おかしくはねえけど。



「総長総長……!

なら、ひのさんがまた姫にもどるんですか!?」



倉庫内は吹き抜けになっているから、階段の上から下の様子が見える。

ん?と投げかけられた声に振り返って、ふっと口角を上げた。



「もどるも何も、

はじめから7代目に女はひとりしかいねえよ」