本当に、笑顔がよく似合う。
ひのがそれを俺に向けて「好き」だと言ってくれるのなら、たぶんもうそれ以上の幸せなんかなくて。キスの最中にどちらからともなくキツく絡め合わせた指が、その答え。
「……まだ時間あるな。倉庫に顔出しに行くか」
「夏休み結局全然行けなかったもんね」
遊びに行きたかったな、とぼやくひの。
行けなかった理由は、付き合ってから約2週間、俺がひのを独り占めしておきたかったせいだ。デートに行くわけでもなく、本当にふたりきりで過ごしたかった。
泊まりこそしてないものの、大抵ひのが俺の家に遊びに来ている状態で。
……そういえば、ひのが倉庫にくるのは音に初対面だった日以来か。
「音ちゃんにも会いたかったんだけどな……」
「連絡先交換したんだろ?」
たまに万理の家に寄り道したら、当然音もいる。
「ひのちゃんとメッセージのやり取りしてたんだけどね~!あのね、」みたいにわざとらしく俺の前であいつはひのの話題を出してくるけど。
……俺の方がひのと過ごしてる時間長いしな。
あと俺が音と喋ってると、万理がうるせえんだよ。すげえグチグチ言われるし。
「あのね、わたしが夏休み後半をどこで過ごしたか知ってるわよね?綺世」
「俺の家だな」
「遊びに行く暇なかったじゃない」
たまに予定ある時は会わなかったが、それ以外は毎日ひのと一緒にいる。
空いた時間が長かった分、その埋め合わせをするみたいに、毎日毎日ひのと過ごしてた。
「……あ、そうだ。深い意味はないんだけど。
音ちゃん、本名万音ちゃんなんでしょ?なんで、みんな音ちゃんって呼んでるの?」



