赤い頬で。……潤んだ瞳で。
口にされたそれに、簡単に理性を崩される。男を煽んのがうまいのか、それともただ俺がひのを好きすぎて煽られてるだけなのか。
「ん、ちょっと待っ……」
「待てねえ。
んなこと言われたら触れたくなんだろ」
……まあ、どっちでもいい。
ただでさえ今日はまだ一度もキスしてなかったんだから、こっちは触れたい気持ちが溜まりに溜まってんだよ。
ひのを抱き寄せて、くちびるを塞ぐ。
はじめは嫌がるくせに、なんだかんだひのは応えてくるから本気で嫌がってるわけじゃない。梳くように撫でたやわらかい髪が、指の間を流れるように通るのも心地良い。
「綺世……」
ひのをこれ以上傷つけたくなくて、一度は離した手。
それでもひのへの思いの方がもっと強かったことに、自分でも気付かされた。……もう、二度とこの手を離す気はない。
「ん、ねえ……綺世。
そういえば、例の先輩とはもう完全に切れてる、のよね?」
「ん? ああ、最近また連絡きたな」
「えっ」
途端に不安そうな顔をするひのに笑って、ぎゅっと抱きしめる。
そういえば、昔に比べてひのは随分と感情が豊かになった。前はそんなことなかったのに、今なら見ていれば何を思ってるのかわかる。
「彼氏が出来たんだと。
……いい男すぎて俺のことはもうどうでもいいって言ってたぞ」
「わざわざ綺世に連絡してくる意味……」
ないでしょ、と言いたげなひのに「嫉妬か?」と適当なことを言えば、赤い顔で抱きついてくるからどうやら図星。
かわいいなと抱きしめてもう一度キスを落とせば、ひのはうれしそうに笑った。



