「みや……!」



「……お〜」



どれぐらい、寝転んだまま考え込んでいたのか。

ひのが地元から出てくるだけで15分はかかるから、20分ぐらいひとりでぼーっとしてたらしい。……完全にぼーっとできるぐらい無心なら、よかったけど。



生憎心の中は軽くないんだよねえ、と。

身体をゆらっと起こしたところで駆け寄ってきたひのにぎゅっと抱き着かれて、一瞬おどろきで声が消える。



「……ひの?」



「いつも飄々としてるみやが……

そんな風に連絡してくるの、すごくすごく、心配するんだから……」



何があったの?って。

不安げな瞳をするくせに、視線はまっすぐで揺らがない。何かあったのはひのの方だろと思いたくなるくらい痛々しい顔をする彼女にふっと息を漏らして、額をくっつける。




「ありがと、心配してくれて」



「……あたりまえじゃない」



「俺ひののそういうとこすげえ好きだよ」



当事者の俺よりも、心配してくれる。

心配してどこまでも一緒の感情でいてくれる。それが心地いいと知っていたから、たぶん、ひのに電話をかけてた。



「……たまに、思い出すんだわ」



──俺には元々、両親がいない。

事故で亡くなったのかもしれないし、それともまだ実在するのに捨てられたのかもしれない。お金に困ってたから俺を手放さざるを得なかったって可能性もある。



それのどれが正解なのかは知らねえけど、俺は小学校を卒業するまで施設で暮らしていた。

中学に入る前、自分たちの間には子どもをできないことを理由に施設から俺を受け入れて引き取ってくれたのが、いまの血の繋がらない両親だ。