何かお偉いさんばっかりなんですけど……!!

え、説明してくれたの総長って言った?そんな偉い方が直々に説明してくれたの?



「で、双月で関わったことあるから綺世のことは知ってるけど……

まだ好きってことは、綺世の元カノなの?」



聞かれてる。

完全に話を聞かれてる。こそっと話したつもりなのに何も隠せてなかった。



「元カノ……です。振ったの、わたしですけど」



「ああ、綺世のこと唯一振った女って双月界隈で有名な女の子ってきみのことなんだ」



有名……!?え、有名なの!?

綺世が振られることなんて確かに人生の中でそうないだろうけど、簡単に納得されるぐらいには有名なの!?



その噂やめてほしいなと、思わずくっと顔を顰めていたら。

美少女が席を立ってちょこちょこと歩み寄ってきたかと思うと、バッグにつけているピンクゴールドのリングをのぞき込む。




「別れたのに、指輪もらったの……?」



「え、と。

……いま、ちょっと手を貸してて」



「手を貸すって何よー。

まさかこんなとこで繋がりがあるなんてあたしも思ってなかったけど、気になるじゃない」



美少女と、アサギさんにじっと見つめられて一度言葉に詰まってから。

双月の関係者ならちょっとぐらい話しても大丈夫かな、と口を開く。



「ええっと……姫が、敵のスパイだったってことが発覚して。

チームを守ったまま彼女を追放するために、新しい彼女のフリを、してるんですけど」



「敵のスパイ?てか、姫って……

ねえそのスパイしてる子が、ほんとに所属してるチーム名とか聞いてないの?」



どこのスパイ?と尋ねられて。

前に万理から教えてもらったチーム名を口にすると、『白銀?』と顔を見合わせた彼らは、席にもどった美少女ふくめた3人で何かこそこそと話し合う。