その時だった。
不意に1つの足音が科学室の前で止まった。
あたしはスマホからドアへと視線を向ける。
ドアの高い位置にはめ込まれている正方形のすりガラスの向こうから、人影が動くのが見えた。
「先生、ここは確認しましたか?」
男子生徒のそんな声が聞こえて来る。
「いや、まだだ」
先生の慌てているような返答。
「じゃぁ、俺はこの部屋を確認してから行きますね」
「あぁ。頼む」
1人分の足音がバタバタと遠ざかって行き、人影が1つだけその場に残った。
「あっ……」
喉の奥から思わず音が漏れた。
ガラガラと大きな音を響かせてドアが開く。
「ここ!! あたしはここにいます!!」
ドアが開くと同時あたしは全身から声を出した。
両手を上げて手を振り、その場で何度も飛び跳ねる。
男子生徒の顔は見たことがあった。
科が違うから直接会話をしたことはないけれど、『昆虫博士』というあだ名で知られている生徒だった。
不意に1つの足音が科学室の前で止まった。
あたしはスマホからドアへと視線を向ける。
ドアの高い位置にはめ込まれている正方形のすりガラスの向こうから、人影が動くのが見えた。
「先生、ここは確認しましたか?」
男子生徒のそんな声が聞こえて来る。
「いや、まだだ」
先生の慌てているような返答。
「じゃぁ、俺はこの部屋を確認してから行きますね」
「あぁ。頼む」
1人分の足音がバタバタと遠ざかって行き、人影が1つだけその場に残った。
「あっ……」
喉の奥から思わず音が漏れた。
ガラガラと大きな音を響かせてドアが開く。
「ここ!! あたしはここにいます!!」
ドアが開くと同時あたしは全身から声を出した。
両手を上げて手を振り、その場で何度も飛び跳ねる。
男子生徒の顔は見たことがあった。
科が違うから直接会話をしたことはないけれど、『昆虫博士』というあだ名で知られている生徒だった。