男嫌いな女王様とクールな臣下

疑心暗鬼の二人をよそに、朱音は前野が何をするのか楽しんでいた。

区役所は、タクシーで5分も乗れば到着した。

「ここで何するんだよ。しかも閉まってるし」

「時間外受付は?」

裏口のようなところから、役所の中に入っていく。

時間外受付の窓口がある。

前野が、朱音の腕を取って彼女の前に立った。

「朱音?今から君は、二人のうちどっちか選ぶことになる。影山さんは、既婚者だからダメですね。
残る榎田と俺、君がずっと一緒にいたいと思うのは、どっち?」

朱音が驚いた顔をして榎田を見た。

「どうして二択なの?榎田わかる?」

二人は、少し見つめあっていたが、いきなり榎田が笑い出した。

「わかったよ、俺の負けだ。署名してやるよ」

「悪いな」

前野が用紙をもらうと、自分の名前を書きだした。

「君が、あいつのものになる前に、先に結婚しちまえばいい。そうしたら、君は手に入らなくなる」

「それだけ?」朱音が驚いて前野を見る。

「少なくとも、君がいなければ君の会社の社長に就く理由がない」

「ええ、いいわ。もう少しロマンティックなプロポーズがよかったけど」

「それは、考えておくか」