やっと着いた御剣さんの芸能事務所は、外観は立派だけど中身はかなり殺風景だった。

通路には観葉植物も掛け時計も無くて、芸能界っぽい華やかさは皆無。

唯一カラフルなのは、壁に貼られたアイドルや芸能人、声優等のポスターだけ。

無機質なパイプ椅子やデスクが並んだ、灰色まみれの場所だ。

なんか、冷たくて寂しい感じ……

御剣さんの後ろをついてきて階段を登る間も、社員達はつまらなそうな顔で資料を見てた。

(芸能事務所なのに、テレビや雑誌にも関わる仕事なのに、全然楽しくなさそう……)

そうこうしてる内に、私は一つの部屋に案内された。

『第二資料室』と書かれた扉を、御剣さんはノックをしてから開ける。

「ユキ、リオン」

「えっと、失礼します……」

一応会釈をしながら私も入室する。

部屋には丸められた模造紙が立てられた箱、芸能人のポスター、たくさんの資料が雑多に入った棚がいっぱい。

中の長テーブルとパイプ椅子に腰掛けていたのは……

「御剣さん遅い!」

「その子、誰?」

『どりぃむ†あすとろのぉつ』の二人、シラユキとサンドリオン本人だった。

派手な髪色は元から染めてるみたいで、すぐに分かった。