◆あなたに一粒チョコレート◆

「瑛太、瑛太。大好き。これからもずっと」

瑛太がクスリと笑った。

「俺も。ずっと好きだよ」

幸せで幸せで死にそうだ。

そんな時、少しだけ瑛太が身を離した。

「春。さっきのチョコ、もっと食べたい」

「あのでも、一晩冷やさなきゃ固まらないみたいなんだけど……私もまだ味見してなくて」

「ダメ。待てない」

「じゃあ……」

「味見まだなら……はい、味見」

……え?

見上げた瞬間、瞳を伏せた瑛太が頬を傾けた。

あ……。

うまれて初めて作ったチョコは、甘くて優しい味がした。

多分、これが恋の味。

瑛太の温かさが嬉しくて、私は再び眼を閉じた。


****

翌日。放課後。

「いやあー、良かったー!ほんと、良かったー!」

浪川が、心底ホッとしたように私と瑛太を見た。