「か、彼女じゃないの?!だって抱き締めたりキスしたりって」

瑛太が決まり悪そうに首を振った。

「急に後ろから抱きつかれたけど、キスなんかしてないよ。されそうになったけど」

あまりの事に言葉を返せなくて、私はただただ瑛太を見上げた。

「俺が好きなのは、春だよ。ずっと春だけ」

ずっと、私だけ……?

瑛太が僅かに両目を細めた。

「春。言うのが遅くなってごめん。でも春は俺のこと全然意識してなかったから言い出せなかった。俺が告白して、もしも春にフラれて、幼馴染みの関係が終わるのが嫌だったし。でも」

一旦ここで言葉を切ってから、瑛太は私に手を伸ばした。

「鮎川が……春に告白したって知って、しまったって思った。すげー焦って、イラついて意地悪言ってごめん」

瑛太……。

瑛太の大きな身体に包まれて、ドキドキするし涙が止まらない。

「おまけに春はちょっと鈍いだろ?谷口先輩のことも案の定勘違いしてるし、誤解を解こうとしてもなんか上手くいかなくて」

うん、うん。

鈍いは一言余計だけど、でも、嬉しい。

私は瑛太に抱きついて彼の胸に頬を押し付けた。