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バレンタインデーの今日、どうせ瑛太は谷口さんとデートだろう。
だから私は菜穂と言葉を交わした後、出来るだけ急いで教室を出て、鮎川君との待ち合わせ場所である正面玄関へと急いだ。
だってまた、瑛太と眼が合ってモヤモヤと嫌な感情を生みたくなかったし、二人が一緒にいるのも見たくなかったから。
初対面の私に、谷口さんが挑戦的な眼差しを向けた気持ちが今なら分かる。
だって、ただの幼馴染みってだけで瑛太を独占しようとするズルい気持ちが自分でも嫌だもの。
その時、
「春!」
廊下を早足で歩き、階段を降りようとしていた私を瑛太が呼び止めた。
一瞬立ち止まってしまったけど、私は振り向かずに階段をかけ降りた。
「春!待てよ!」
嫌だ、嫌だ。
こんな気持ちを抱えた私は卑怯で嫌なヤツだ。
瑛太に見られたくない。見られたくない!!
「春ってば!」
瑛太が私の腕を掴んだ。
バレンタインデーの今日、どうせ瑛太は谷口さんとデートだろう。
だから私は菜穂と言葉を交わした後、出来るだけ急いで教室を出て、鮎川君との待ち合わせ場所である正面玄関へと急いだ。
だってまた、瑛太と眼が合ってモヤモヤと嫌な感情を生みたくなかったし、二人が一緒にいるのも見たくなかったから。
初対面の私に、谷口さんが挑戦的な眼差しを向けた気持ちが今なら分かる。
だって、ただの幼馴染みってだけで瑛太を独占しようとするズルい気持ちが自分でも嫌だもの。
その時、
「春!」
廊下を早足で歩き、階段を降りようとしていた私を瑛太が呼び止めた。
一瞬立ち止まってしまったけど、私は振り向かずに階段をかけ降りた。
「春!待てよ!」
嫌だ、嫌だ。
こんな気持ちを抱えた私は卑怯で嫌なヤツだ。
瑛太に見られたくない。見られたくない!!
「春ってば!」
瑛太が私の腕を掴んだ。


