「鮎川もさ、ポジションはセンターフォワードで、エースストライカーなんだ」

「凄いんだね。私、鮎川君がサッカー部だってことしか知らなかったよ」

「だから悔しいんだと思うよ、アイツ」

「え?」

山内君が私を斜めから見下ろして、直ぐ視線をそらした。

「川瀬、鮎川に付き合ってほしいって言われて、その場で断っただろ?」

うわ、さすが親友……よくご存じで……。

「あ……うん……」

「アイツモテるから、断られるなんて思ってなかったみたい。で、スゲー悔しそうにしてた。でもそれで、ますます川瀬を好きになったんだって」

「は?そこは……理解できないけど……」

「まあ川瀬に好きな奴とかいないならさ、長い眼で見てやってよ」

「わ……わかった……」

山内君は空を仰いでグイッと伸びをすると、爽やかに笑った。