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買い出しは思ったよりも早く終わった。

山内君が見かけによらず力持ちだった事に加え、凄く気の利くテキパキとした行動派だったからだ。

「ねえ、なんで買い出し役なんかに立候補したの?明日は練習試合じゃん」

買い出しの帰り道、私が山内君を見上げてこう言うと、彼は柔らかく笑った。

「何か役に立たなきゃね。明日、俺は出ないんだ。一年で試合に出るのは浅田だけ。うちはほら、野球部とサッカー部が有名だろ?だから部員数が多くて。三学期に入って脱落者がかなり出たけどね」

「そっか……」

「だから、浅田は凄いんだ。エースで四番の一年なんて、まずいないから」

瑛太の話題は、なんか身体がゾワゾワする。

気まずい、自分の中だけでだけど。

「鮎川もそんな感じなんだよ」

急に話題が瑛太からそれたことにホッとしつつ、私は山内君を見た。