私を囲った瑛太が、自分の手首から肘までをベッタリとロッカーに押し付けてこっちを見下ろした。

息がかかるほどに近い。

「やめてよ、こーゆーの」

「手、貸せ」

「なっ、」

瑛太が私の手首を掴んで持ち上げた。

「なに、瑛太、や……」

思わず言葉が途切れた。

瑛太が、私の手の平を自分の身体に押し当てたから。

薄いシャツから伝わる、瑛太の分厚い胸の感触。

手を引っ込めようとしたけど、手首を掴まれていてまるで動かせない。

布越しに触れる手の平が、熱い。

「触って。俺のこと」

「瑛、太やめて」

瑛太の鼓動が、トクトクと手に伝わる。

「やだ、瑛太」

「まだだ」

言いながら瑛太はこっちを見つめたまま、胸に押し当てた私の手のひらをゆっくりと下に移動させた。

まるで無駄な肉のない、硬い腹筋の感覚。

それから、引き締まった腰。

子供じゃなくて、男の子の身体。

心臓が爆発しそうで、これ以上触れていられない。

「瑛太、やめて」

「……これでも……これでも俺は昔のままかよ」

瑛太が私の眼をまっすぐに見下ろした。

「俺だって男なんだよ」