目の前の瑛太は、まるで別人のようだ。

別人のようにイラついて、私に意地の悪い台詞をぶつけてくる。

「瑛太なんか嫌い。帰って!」

声が震えそうになって、でもそれを知られたくなくて、私は膝の上の縫いぐるみを瑛太にぶつけた。

それから、顔を背けた瑛太の胸をここぞとばかりに両手で押す。

「舞い上がってんのは瑛太でしょ?!女子にキャーキャー言われて調子に乗ってんじゃないの?!そんな甘ったるい香水つけてる女子となにやってんのか知らないけど、」

私がそこまで言った時、瑛太が素早く私の両手首を掴んだ。

「……気になんの?俺が……誰となにしてんのか」

瑛太の息が手首にかかり、その温かさにドキッとした。

切り込んだような瑛太の二重の眼を見ていられなくて、眼をそらした途端、今度は男の子らしい顎や首のラインが眼に飛び込んでくる。