羞恥か、怒りか。

宮ちゃんはぷるぷると震えながら、顔は真っ赤。

「い、いつから……いたの」

俯いたままの宮ちゃんが問いただすが、美鈴君は答えない。

多分、答えにくいよね。

そう思って、相良君にそろっと目を向けると、「そんな目で見ないで」と懇願するように表情を引き攣らせた。

「相良君……」

それでも、名前を呼ぶと「ひどい!」と絶望するような表情になって、心が痛んだが、目は逸らさなかった。

彼は仕方なく、「あー」と言いにくそうに眉を寄せて……開き直ったように苦笑した。

「……最初、から?」

ぼふっ、と音をたてて宮ちゃんが崩れ落ちた。

両手で顔を覆っていて表情は見えないが、耳まで赤くなっている。

( ……最初って、どこ!? )

どうしたものかと、おろおろとしていると、美鈴君が相良君を押し退けて教室に足を踏み入れた。

私に近付き過ぎないように配慮してくれているのか、不自然に少し遠い距離で口を開いた。

「……ちょっと、二人にして」

「は、はい!」

ぴしっと敬礼したくなるような声に、僅かに鳥肌が立つちそうになる。

けれど、ほかの男の子より症状が軽いのは、距離があるためか、相良君の親友だからか。

ーー宮ちゃんの好きな人だからか。

とりあえず、ささっと美鈴君の横を走り抜けて扉に向かう。

二人にして大丈夫かな、と心配しながらも「行って」と視線で促され、仕方なく教室を出る。