「宮ちゃん、昨日はごめんね」

「何言ってんの由李、私こそごめんね」

入院中は次の日まで目が覚めなくて、お見舞いに来てくれていたらしい三人にお礼が言えていなかった。

安静のため一日入院して、今日はお昼から学校に来たというわけだ。

宮ちゃんは一番に出迎えてくれて、一日中私を心配し続けていた。

「無理せず休めば良かったのに」

「だって、宮ちゃんに会いたかったの」

「由李っ!……もう、本当に可愛いんだから」

ぎゅーっと抱きついてくれる宮ちゃんの方が可愛い、と思いながら、彼女のポニーテールを撫でる。

隣の校舎からは、やっぱり派手な音が聞こえてくる。

彼女は相変わらず、普通科に対して呆れたように睨むだけだ。

向かいの校舎の屋上を見上げる。

( ……流石に、いないか )

数日前に、屋上から目が合ったかと思った彼と、二日前、手を繋いだ。

右手に目を下ろして、また屋上を見上げる。

それから。

授業が始まっても、開かない屋上の扉を、ただぼうっと見つめていた。