封は既に切られていた。

中島くんが眠っていることをもう一度確かめる。


あたしが見てはいけないものだと分かってるのに、わずかに開いた切り口を見ると、知りたいという気持ちの方が勝ってしまって。



本多くんの秘密がわかってしまうかもしれない。

それとは全く関係のないものかもしれない。

不安と興味が入り混じって指先が震える。



──────少しだけ。


封筒の中に指を差し入れて、そっと引き出した瞬間、思わず目を見張った。



折りたたまれた便箋の表面は、ほとんどセロハンテープで埋め尽くされ、継ぎ接ぎ状態。


誰かの手によって細かく破られたものを、誰かが一生懸命、貼り合わせて修復した……そんな情景が伝わってくる。


まだ文面を見てもいないのに、胸がぎゅうと苦しくなった。



四つ折りにされたボロボロの紙を、まずは一回、ゆっくりと開くと。


その直後、隣から低く唸るような声が聞こえ、ドクリと心臓が跳ねた。


どう言い訳していいかわからず、咄嗟に 「ごめんなさい」と口を開きかけた、けれど。



俯いた横顔は瞳を閉じたまま。

一筋の雫が、その綺麗な輪郭を静かに伝っていた。



「どうして」


と、無意識に、かすれた吐息のような

声にならない声がでた。