「おう、菜乃花ちゃんいる?」






「菜乃花?いるよ。菜乃花~」





え?私?






人違いなんじゃないかと思ったけれど、このクラスに菜乃花という名前は私しかいない。






恐る恐る教室の入口に近づく。







心臓がどきどきうるさくて、頭が痛い。







本当に本当に私を呼んでいるんだろうか。







一歩一歩進むごとに勘違いなんじゃないかという気持ちが強くなっていく。







そして突然人だかりが消えて視界が開けた。








目の前には林君。







手を伸ばしたら届くくらいの距離にあの林君がいる。









「よっ」








彼は満面の笑みで手を小さく上げた。








「あ、オハヨウゴザイマス…?」







「ぷはっ、おはようってなんだよ。もう昼だぜ」







林君はケラケラと笑う。







恥ずかしい…