何が起きたのかと思っているうちに、優しい柔軟剤の匂いが香る。 気付いたのは、私が広大の腕の中にいることだった。 泣き続ける私の頭に手を置いて、広大は動かない。 「ごめん。我慢できなくなっちまった」 耳の近くで聞こえる、広大の低い声。 「どういう…」 「何でもねえよ」 頭に乗せたままの手でもう一度ポンとされる。 私を抱きしめる広大は優しくてあたたかかった。 Fin.