「まあ、ね」 酒井の顔なんか見れないから、目をそらしてわざと余裕ぶる。 「お前本命のヤツなんかいたんだ」 「バカにしないでよね、私だってイマドキのJKなの」 あんたのことだよ! と心の中でツッコミながらも実際にそんなことは言えない。 「じゃあ、それ渡せなかったら俺がもらってやるよ」 「え…?」 思わず酒井を見るけれど、酒井はこっちを見てくれなかった。