「もー、素直じゃないなぁ。遥生くんのことが心配なんでしょ?」



「うん……」




わかりきったように話す麻莉奈には、敵わないと思った。気づけば素直に頷いていて、クスリと笑われた。



ねぇ、私は遥のことが心配だよ。ううん、それだけじゃない。



遥がいないのに頑張れるのかな、走りきることなんてできるのかな。そう考えてしまう。




「ねぇ、琴葉ちゃん。遥生くんの分まで頑張ろ?」



……遥は出たくでも出られないのに、私が弱音を吐くなんておかしいよね。




「私はね、まだ知らないことばっかりなの。遥生くんの体が弱いってことはなんとなくわかるけど……琴葉ちゃんとの間に何があるのか、わからない」



だけど、と麻莉奈は続ける。



「それでも一緒にいたいって思うんだ。話してくれるまで待ってるから!」



暗くなった雰囲気を、たった一瞬で和ませられる麻莉奈は本当にすごい。だから私も、いつかは全て話したいなって思うよ。