下宿屋 東風荘

「珍しいですねぇ」

「先に僕が研究室を離れるので、送別会をしてくれるそうです」

「なら、土間の方の鍵を開けておきます。裏からになりますけど、玄関は一応防犯のために閉めたいので」

「すいません」

「皆さんはまだ学生ですから駄目ですよ?」

「分かってるもん。高校生はバイトも22時までだって聞くし、賢司さんの居酒屋も閉店12時でしょ?それでも、0時の門限には間に合ってるじゃん」

「学生中は仕方ないよ。それにここよりいいところなんてないだろ?」

「間違いない」

「では、私は先に。食器は……ボウルだけなのでつけておいてください」

「出かけるの?」

「少し……すぐに帰りますが」

それだけ言い、お膳を土間の机において早々に自室へと帰る。


コン__

「何かあったかい?」

「また社に何か……」

「懲りないねぇ……朝も言ったけど、お前達はゆっくりしておいで」