下宿屋 東風荘

なるほどと思い、先に開いて出してもいいのか聞くと、いいと言うので、今夜の卵は賢司に手伝ってもらうことにした。

その後は続々と帰ってきて、銭湯に行かせている間につまみを作る。

いつもの揚げのカラ焼きにしてもよかったが、納豆があったと冷蔵庫から出して、刻んでおいてあったネギと納豆を付いているタレも入れて混ぜ、半分に切った揚げに詰めて楊枝で留め、フライパンで焼く。

もう一つと思いつつも、今日は洋食だからと漬物だけ出し机の上に置いて、自分の分だけお膳に乗せて運ぶ。

風呂から先に戻ってきた賢司に卵を任せ、サラダを机に、スープは保温機に入れ板間の上に置く。

「冬弥さんいくつか出来たけど!」

「ありがとうございます。これはこれで何だか可愛いですね」

チキンライスの上にポンと乗せられたオムレツ。
小さなナイフできると左右にわかれ、中の半熟卵がトロッと流れる。

そこにケチャップをかけ、刻んだパセリを散らす。

「後残りもお願いしますね。これはこれでとても美味しそうですけど、割らない方が良かったのでしょうか……」

「あいつら、絶対割ってあった方がいいと思うよ?普段和食だから食べ慣れてないと思うし」

「そうですねぇ。私ももう少し作れるといいんですけど」