下宿屋 東風荘

サラダはまた大きな木製のボウルでいいかと、洗った野菜を手で千切り、ボウルの中に、レタスや細切りにした人参大根を入れてまぜ上にシーチキンを乗せ、ミニトマトとブロッコリーやカリフラワー。黄色のパプリカ等で飾っていき、ラップをして冷蔵庫へと入れ、みんなが帰ってくるまでと、お茶を入れてテレビをつける。

今日は掃除があったので、いつもより少し遅くなったが、夕方の四時から五時までやっている、ファンタジーアニメが今のお気に入りだ。

他の子達に見られたら恥ずかしいかもしれないが、鍋かフライパンセットと同じ名前のついているアニメで、「天満堂へようこそ」と言うコメディな感じのアニメだ。

主人公の鍋をかき混ぜながらの高笑いと、薬を作る際の奇声をあげるシーンが人気なアニメで、狐達もその時だけは見に出てくるほどだ。

「ただいまー」

え?っと玄関の方を見ると賢司だった。

「あ、そのアニメ今人気なやつだよね?冬弥さんも見るんだ」

「ええ、商店街で聞いたんですよ。ここには若い子達がいるから見て置かないと話について行けないと言われてね」

と、言い訳じみているが、きっかけはそうだったので嘘ではない。

「このアニメさ、もう変な鳥みたいなのでた?」

「鳥?まだですが……」

「本当は夜やってるんだよこれ、だから少し遅れてるのかも。俺マンガ持ってるけど読む?」

「漫画まであるんですか?知りませんでした。是非」

「後で部屋の前に置いておくよ。それにこの話のモデルって、有名チェーンの薬屋と日用品会社がモデルなんだって。名前も同じだし」

「うちでもその鍋使ってますよ?本は後でお願いします。それよりもバイトの方は?」

「店長が風邪で、今日は店閉めるって電話来たから帰ってきた。夕飯てある?」