「落ち着きなさい。私も爺さんには世話になったからねぇ。何でも新しい狐を冬に据えたいようで……戦争するつもりかとは一応聞いておいたんだが」

「何て?」

「する気は無いみたいみたいな事は言っていたよ?ただ、見ていないからわからないかもしれないけど、あの淀み……いきなりできたとは思えないんですよ。それに、那智の様子もおかしいですからねぇ。少し調べてみます」

「どうやって?」

「その為には秋彪に早く良くなってもらわないと。今日はこの子達を置いていきます。いいですね?」

「……分かった。借りは必ず返す」

「お前達、秋彪に2匹と後は狐達の方も頼むよ。粗相のないようにね」

それだけ言い社を後にする。

秋彪の社は秋だ。
他の社よりも木々が多い。それを利用して社周りに結界を張る。
誰か侵入すればすぐに分かるだろう。

春の周りに位置している神社が多いので、距離はあるが行き来するのに左程苦にもならない。
夜道を歩いても良かったが、寒いので走って自分の社まで帰る。