秋彪の狐達も神酒をと持ってくるが、大分と傷ついている。

「お前達も傷を治すことに専念しなさい。出ているだけでも力を使うだろう?」

そう言って自分の狐の中で、癒しの能力の強いものを半分だし、秋彪を優先に治させる。

「いいよ。またいつ来るかわからないし……」

「私の狐たちだよ?この位じゃぁ何ともならないさ。お前も寝ながら聞いて欲しい。今日来たのは悪孤だけかい?」

「野孤もいたけど、その中に臭いが……香の臭い」

「那智のだろう?」

「__何でっ!」

「あいつの狐が来たからさっき話を聞きに行ったんだよ。聞くつもりで行ったら、社の周りは淀んでいた。そして爺さんの珠を渡せと……これでわかるだろう?」

「あの珠には五つ分程度の珠の価値がある。多少弱いが俺にもわかる」

「ふむ。お前はまだ神通力は弱いが、曲がりなりにもこの社の後継者だ。珠はちゃんと自分の中だろうねぇ?」

「当たり前だ!爺さんからもそうしろって言われてたし、爺さんは力は弱かったけど色々と教えてくれたんだ……だから!」