いつもいつも同じ願いが続く中、面白いと思った狐は、妖術を使い子供の能力や今住んでいるところなどを見ていく。

15歳、男。
親の仕事の都合上アパート探し中。
学力に問題なし……平均以上。
そこそこの顔とそこそこの身長。そして、未知数の霊媒体質。
受験日は明日。

「うん、いいんじゃないかな?あの子供……」

そう言って、明日も着るであろう学生服に、念を込めた御守りを内ポケットに忍ばせる。

長い間手を合わせていた子供だが、何故か読み取れないことがいくつかあり、余計に気になる……が、明日必ず合格するあの子供を、下宿に入れるための準備をしないといけない。

下宿の一番端が土間となっており、竈門や流し、麻袋には芋や米が置いてあり、一段上がった板の間には6人用の机が四つ置いてある。

基本は大皿に盛り付けて数皿置き、炊けたお米はお櫃に移しておいてある。