都会から少し離れたまだ緑豊かな郊外に、小さな神社と併設して、高校生、大学生専門の下宿屋がある。

家賃は食事込みで五万円。
トイレ・ミニキッチン付き8畳と4畳の部屋に押し入れが一つ。
風呂は、隣に昔さながらの銭湯があるので、そちらを利用してもらうが、それも家賃込みとなっている。

「さて、今年も下宿人を見に行こうとするかねぇ」

そう言って、1月の寒空に姿を消して神社の上から受験生を見ているのは、神社のお狐様でもあり、下宿屋のオーナーでもある妖狐。