大丈夫と何度も心の中でつぶやく。

しばらくそうしていたら徐々に落ち着いて、ピコンピコンとまた機械が音を立てたかと思えば、液晶にうつるのはどこかの風景。



『被害受けたヤツの身分証明書見っけたから羽泉のパソコンにぜんぶメールで送った~。

なんとなく見覚えあるからたぶん西だねえ。こっちは3人で、全員意識ねえけど軽症だから目ぇ覚ますのにそんな時間はかかんねえはず』



『あとねー、またメモ書きあったよ』



千咲の声に、ピクッと肩が跳ねる。

変わった画面に映ったのはさっきと同じような紙で、違うのは文が『6月3日』と書かれていることだけ。右下の名前もイラストも同じものだ。



『ふたつの書き置きがもし共通なら、

莉胡を6月3日に迎えにいくってことになるな』



青ランプが点灯して聴こえた織春の声。

いまはまだ4月に入って1週間とすこし。……タイムリミットは、あと1ヶ月半以上ある。



だけど、東のメンバーが黙り込んでるのは。

その日が何の日か、ちゃんとわかっているからだ。




『ん……? アレ、これ東繋がってねえの?』



『西に繋がってんなら東にも繋がってるよ。

……マイク切ってんでしょ?』



千瀬もミヤケも席を立とうとしないから代わりにわたしが立ったけれど、引き止められることもなく。

スイッチを入れて「その日、」と口を開いた。



「6月3日は……

──千瀬の、誕生日なのよ」



『……だとしたら、わざとだな』



「………」



……誰かが。ううん、HTDが。

わざとその日を狙っているなら、その理由は一体なに?