「何やって待っててもどうせ来るんだしさ。

それならのんきに待ってる方がいいでしょ」



「理にかなってるけどなんか違うんだよな……

まあいいか。俺らも負ける気しねえからなー」



のんきにくあっと欠伸しているミヤケ。

負ける気がしないというのは本当で、月霞も累もメンバーは集めてない。けれど今日この倉庫の人口がやけに高いのは、千瀬の誕生日を祝うためだ。



つまりみんな今から起こるであろうHTDとのことよりも、自分たちの総長の誕生日の方が大事だと準備しているわけで。

それでこそ月霞ね、とくすくす笑っていたら。



外で響くエンジン音。

多くないそれは、HTDのものだとわかる。



「……行こうか」



差し出された手それを重ねて、千瀬と下へ降りる。

下っ端のみんなもエンジン音には反応したみたいだけど、やっぱり気にしていないようで、倉庫内はにぎやかだ。




「やっと来たんだ?

ずいぶんと、待ちくたびれたよ」



「ちゃんと時間は連絡してあっただろうが」



「まあね。

お姫様は祝われる張本人よりもケーキ食べたがってたけど」



「……なっ。

別に千瀬より先に食べようなんて思ってないもん。……ケーキ食べたいけど」



言えば、ふっと笑う千瀬。

幹部は一応揃っているけれど、外にはわたしと千瀬と、出たところにいるミヤケだけ。あとはみんな倉庫内にいて、特攻服を着てるのも千瀬だけ。



対するHTD側は、白葉 万智と、ミケと、あともうひとりの幹部らしき男のみ。宣言通り人数は少ない。

ちらり、とわたしたちを一瞥した白葉 万智は、ゆっくりと口を開く。



「夏川莉胡。──お前を迎えに来た」