「莉胡」



「へ?

あ、ごめん……ぼーっとしてた」



「……よく呑気でいられるね」



わたしのケータイに、18時に迎えにいくとミケから連絡があったのは昨日のこと。

平日だからお互いの学校の時間を計算してのことなんだろうと思ったらちょっと笑ってしまった。なんだかんだ親切よね。



7代目を背負う特攻服を着た千瀬がわたしの髪に触れる。

無意識で首筋に顔を近づけたら昨日あげたばかりの香水の匂いがして、思わずかあっと赤くなる顔。



「っ、な、香水つけて、」



「なに赤くなってんの。

せっかくくれたんだからつけただけでしょ」




赤くなるようなことを言ったのは千瀬でしょ……!

冷めた顔でわたしを見ないで。でもあきれた表情も結構好き……って、そうじゃなかった。



「で、どうなの。

いつもの俺と今日の俺どっちが好き?」



すっと距離を詰めて聞いてくる千瀬。

ふんわり香る甘すぎない香りにくらくらする。あと小首を傾げるその姿ちょっとかわいいよちーくん。



「っ、どっちも好き」



「ふっ。……そうじゃなきゃね」



「……お前らほんと呑気だな」



イチャイチャ。イチャイチャ。

なんだかんだいつものような会話をしていたら、横から呆れた視線たち。はっとしたら、「邪魔しないでよ」と千瀬がつぶやくから、この人は間違いなく確信犯。