あなたに捧げる不機嫌な口付け

「……知っていたなら、どうして私を責めたの」

「責めてなんかない。確認しただけだ」

「確認ねえ。……ひどい詭弁」


苛立ちを知られたくなくて、無表情を作る。


お互いに表情が消えていく。


無表情な私に諏訪さんも無表情に返した。


「事実だろ?」


特有の屁理屈を述べた諏訪さんは、瞬きをして、また綺麗に表情を消す。


「酒って怖いよな。本人は内緒話のつもりだったんだろうけど、酔った参加者が言ってた」


不穏な成り行きに眉が寄る。


参加者。

あの日の、参加者だろうか。


取り乱すのは嫌だから、自分の中で整理をつけてから問いかける。


「……何を」


それでも、絞り出した声は平淡になった。


落ち着け。落ち着け。


動揺する私に皮肉げに口角を持ち上げた諏訪さんは、静かに言った。


「『祐里恵ちゃんは高校生なんだ』って」