あなたに捧げる不機嫌な口付け

一緒に片付けをして、くつろぐべく、確認を取ってからもう一度ソファーに腰を下ろす。


頷いてくれた諏訪さんも座った、のはいいけど先ほどよりも近い。


膝と膝の距離は、子どもが一人座れる分もなかった。


「……あの、もう少し離れて」


自意識過剰ぎみな発言は、元々端に座っていて、これ以上避けられないから。


「やだ」


パーソナルスペースは守って欲しいのに。


人との適切な距離を間違える人がたまにいるけど、諏訪さんもその類いなんだろうか。


……絶対違う。だってこの人、そんなアホじゃない。


距離を詰めるにしたって何かしらの逃げ道は残すし、残せる時点で計算しているし。


戸惑いながら若干ずらした場所の分だけ、諏訪さんも詰めてくる。


傾きつつ縮こまりつつ、じりじりと端に寄っていたら、もう逃げ場がなくなってしまって。


……人懐っこいイケメンはずるいということを学んだのだった。


ド変態な行動をしてもあまり気持ち悪くないし、不快感までは感じないし、どこか許せる雰囲気を持っている。


驚くけど逃げようとまでは思わない。


そういうのを見込んでの行動に違いなかった。


「祐里恵」


低く妖艶に名前を呼んで、手を引く。


「なに、」


顔を上げた私に、諏訪さんは、キスをした。