あなたに捧げる不機嫌な口付け

コーヒーを一口飲んだのを確認して、諏訪さんはソファーに座った。


ソファー前の丈の低いテーブルに、よく冷えたチーズケーキが置かれた。


青で縁取られたお洒落なお皿には金のフォークも添えられている。

よく使い込まれてだろうか、少しくすんだ色艶をしているのが素敵。


「よければどうぞ」

「ありがとう」


コースターも一緒に置いてくれたので、一旦カップを下ろす。


お皿とカップはセットらしい。縁に散る青い模様が似ている。


「砂糖とか入れなくて大丈夫? って、聞くの遅いけど」


ごめん、と付け足した諏訪さんに、大丈夫だと答えると、やっと普通に笑った。


……いや、これじゃちょっと語弊があるだろうか。


ええと、今までも普通に笑っていたのかもしれないけど、私としては裏があるように見えてならなかった。


その諏訪さんが、口元を緩めてふわりと柔らかに笑ったのは、今までの笑顔よりもひどく普通に見えたのだった。