あなたに捧げる不機嫌な口付け

「そう、ですか」


照れの隠せない表情を手で覆いたかったのに、両手首を恭介さんに拘束されている。


せめてもと顔を背けたけど、照れているのはバレているらしい。


「祐里恵は? 俺のこと好き?」


わざとそんなことを聞かれる。


「……うん」


好きだと言おうとして、なんだか上手く言えそうになくて、とりあえず頑張って頷いたら、にっこり笑われてしまった。


これでいいらしい。


え、待って、うんしか言ってないけどほんとにいいの。


……もうちょっと頑張ろう。


うんって頷くだけでこんなに喜ばれるなんて、彼女として駄目な気がする。


嬉しそうな恭介さんが何かを持ってきた。


「DVD借りてあるけど見る?」

「見る」

「じゃあ見よう」


そんなこんなでホットチョコレート片手にDVDを鑑賞して、昼食にこれまた恭介さんが作った美味しいペペロンチーノを食べて、出かけることになった。