あなたに捧げる不機嫌な口付け

諏訪さんはとても綺麗だ。


本当に、はっとするほど綺麗だ。


ひどい性格が分かっても、それを上回る容姿――どの角度から見ても美しく艶やかで、ひたすらに端正な顔立ちに、きっと多くの女性がときめくのだろう。


一目惚れされたことや、顔で騒がれたことも何度もあるのだろう。


そして諏訪さんは、おそらくそれが嫌いなのだ。


だから、ろくに顔を見なくて、帰りたいとしか思わなくて、終始適当な相槌を打っていた私に興味が湧いたんだと思う。


「まあ、何とも思っていないことを否定はしないけど」

「だよな」


満足げな諏訪さんは、うんうん頷きながら私の隣を歩いていた。


その笑みがあまりにくどくて、不機嫌に言う。


「でも、完全に無関心ってわけじゃないよ」

「……は?」


訝しむ諏訪さんに、意地悪く笑ってみせる。


ごめんね、嬉しそうだから、つい。


意地悪が、したくなる。


「大変残念なことに、私、あなたって綺麗な顔してるなあとは思うんだよね」


綺麗なものは結構好きだから、とつけ足すと、諏訪さんが途端に無表情になった。


分かりやすい反応に笑みが深まる。


「……君も顔で判断するんだ?」